コラム
【初心者向け】決算書の作り方はどうする?必要書類や作成手順を解説
決算書は、会社の財産状況や1年間の経営成績を整理し、税務申告や金融機関への提出、経営判断に活用する書類です。初めて作成する場合は、どの書類をそろえ、どの順番で作業を進めればよいか分からず、不安を感じる方もいるでしょう。決算書の作り方を理解するには、総勘定元帳や領収書綴りなどの必要書類を整理し、記帳、残高確認、決算整理仕訳、試算表作成の流れを押さえる必要があります。
当記事では、決算書を作成するときの必要書類から、作成手順、決算後に行う税務申告の必要書類や流れまで分かりやすく解説します。
1.決算書を作成するときの必要書類
決算書を正確に作成するには、日々の取引内容や給与、期末時点の残高を確認できる書類をそろえておく必要があります。書類が不足すると確認作業に時間がかかるため、事前準備が欠かせません。ここでは、決算書作成に必要な主な書類を解説します。
1-1.総勘定元帳
総勘定元帳は、会社が行った取引を勘定科目ごとに分類し、日付や金額、相手先、摘要などを記録する帳簿です。決算書を作成する際は、総勘定元帳の内容をもとに各勘定科目の残高や取引の流れを確認します。貸借対照表や損益計算書の基礎資料となるため、日々の記帳内容を正確に反映させておくことが欠かせません。後から内容を確認できるよう、証憑類と照合しやすい形で整理し、決算時に確認しやすい状態で保管しておく必要があります。
1-2.領収書綴り
領収書綴りは、仕入れや交通費、備品購入など、日々の経費に関する領収書をまとめた書類です。決算書を作成する際は、総勘定元帳に記録された支出が実際の取引に基づくものかを確認する資料になります。領収書の不足や内容の不明確さは、経費計上の確認に影響するため、日付順や月別に整理しておくことが大切です。税務調査時の証拠書類としても役立つため、請求書やレシートとあわせて、後から確認しやすい形で適切に保管しましょう。
1-3.賃金台帳
賃金台帳は、社員ごとの給与支給額や手当、社会保険料、源泉所得税などの控除額を記録する書類です。決算書を作成する際は、人件費や未払給与、預り金などの金額を確認する資料になります。給与計算の内容と会計処理に差があると、決算書の数値に影響するため、毎月の支給内容を正確に記録しておくことが必要です。従業員を雇用している場合は、賃金台帳を整理し、決算時に総勘定元帳や給与明細と照合しやすい状態にしておきます。
1-4.決算日現在の残高を確認できる書類
決算日現在の残高を確認できる書類は、期末時点の資産や負債の金額を裏付ける資料です。決算書を作成する際は、帳簿上の残高と実際の残高に差がないかを確認します。売掛金は請求書の控え、買掛金や仕入額は取引先から受け取った請求書、借入金は返済予定表などで確認します。預金残高や現金残高も、通帳や残高証明書と照合できるよう整理しておく必要があります。残高の根拠を明確にしておくと、決算時の確認作業を進めやすくなります。
1-5.前期の決算書【設立から2年目以降の場合】
前期の決算書は、設立から2年目以降の企業が当期の決算書を作成する際に確認する書類です。前期末から引き継ぐ資産や負債、純資産の残高を確認するほか、売上や利益、損失の推移を比較する資料にもなります。減価償却資産や借入金、未払金など、継続して管理する項目は当期の処理にも関わります。前期の貸借対照表や損益計算書を手元に用意しておくと、残高の引き継ぎや会計処理の確認を漏れなく進めやすくなります。あわせて、前期の注記や内訳資料も確認対象になります。
2.決算書を作成する手順
決算書は、1会計年度分の取引を記帳し、帳簿残高と実際の残高を照合した上で作成します。決算整理仕訳や試算表の作成を経て、貸借対照表や損益計算書にまとめる流れです。ここでは、決算書を作成する手順を順番に解説します。
2-1.帳簿へ1会計年度分の記帳を行う
まずは、決算書のもとになる帳簿へ、1会計年度分の取引をすべて記帳します。売上、仕入れ、経費、給与、預金の入出金などを、領収書や請求書、通帳の内容と照らし合わせながら整理する作業です。決算日は会社の区切りとなる日なので、その日までに発生した取引が帳簿から抜けていないか確認します。
年度末にまとめて記帳すると、資料探しや入力ミスが増えやすくなります。日頃から取引の発生ごとに記録し、月ごとに見直しておくと、決算時の確認作業を進めやすくなります。会計ソフトを使う場合も、入力した金額や勘定科目が資料の内容と合っているかを確認しておきましょう。取引内容が分からない領収書は、摘要欄に内容を残しておくと後の確認がしやすくなります。
2-2.実際の残高(実査)と会計帳簿の残高を確認する
記帳が終わったら、帳簿に記録した残高と、実際に残っている金額が合っているかを確認します。この作業を実査といい、現金は手元の金額、預金は通帳や残高証明書、売掛金は請求書の控え、買掛金は取引先から届いた請求書などと照合します。帳簿の数字だけを見て進めると、入力漏れや二重計上、入金・支払いの記録漏れに気づけない場合があります。差額が見つかったときは、原因を調べて正しい内容に修正しましょう。
たとえば、通帳に記載された手数料の記帳漏れや、未入金の売掛金の確認漏れなどがないかを見直します。資料の金額を1つずつ確認しておくと、後の決算整理仕訳も進めやすくなります。実際の残高と帳簿の残高をそろえることで、決算書の金額を正確にまとめやすくなります。
2-3.決算整理仕訳を行う
帳簿と実際の残高を確認したら、決算整理仕訳を行います。決算整理仕訳とは、通常の記帳だけでは反映しきれない内容を、決算時に正しい金額へ整える作業です。たとえば、まだ支払っていない費用を未払金として計上したり、翌期分の費用を前払費用として処理したりします。建物や車両、備品などを使っている場合は、使用期間に応じて減価償却費を計上します。商品を扱う会社では、棚卸を行い、期末時点の在庫数と金額を確認することも必要です。
売上原価や引当金なども、会社の状況に応じて処理します。決算整理仕訳を正しく行うと、今期の売上や費用、資産や負債の金額を決算書に反映しやすくなります。仕訳の内容は根拠資料と照合し、後から説明できる状態にしておきましょう。
2-4.総勘定元帳と試算表を作成する
決算整理仕訳まで終わったら、仕訳の内容を勘定科目ごとに総勘定元帳へ整理します。総勘定元帳は、現金、売上、仕入れ、借入金などの科目ごとに取引をまとめた帳簿で、決算書の土台になります。会計ソフトを使っている場合は、日々の仕訳入力から自動で作成されることが一般的です。ただし、元の仕訳が誤っていると元帳の数字もずれるため、入力内容の確認が必要です。その後、総勘定元帳の内容をもとに試算表を作成します。
試算表は、借方と貸方の合計が合っているかを確認するための集計表です。金額が一致しない場合は、入力漏れや勘定科目の誤り、二重入力などが考えられるため、仕訳や元帳の内容を見直します。確認してから決算書の作成へ進むと、数字の誤りを減らしやすくなります。
2-5.決算書を作成する
試算表で借方と貸方の合計が一致し、帳簿の内容に大きな誤りがないことを確認したら、決算書を作成します。決算書には、会社の財産状況を示す貸借対照表、1年間の利益や費用をまとめる損益計算書などがあります。
決算書は、税務申告や金融機関への提出、経営状況の確認に使う書類です。作成時は、総勘定元帳や試算表、領収書、請求書などの根拠資料と数字が合っているかを見直しましょう。会計処理が複雑な場合や判断に迷う場合は、早めに税理士へ相談する方法もあります。完成後は前期の決算書と比べ、売上や費用、資産や負債に不自然な増減がないかも確認しましょう。
3.決算後に税務申告を行う際の必要書類
決算後に税務申告を行うときには、決算書をはじめ、申告内容を裏付ける書類や税額計算に関わる書類が必要です。提出先や申告内容によって必要書類が異なるため、事前に確認しておきましょう。ここでは、税務申告時に必要な主な書類を解説します。
3-1.決算書
決算書は、税務申告の基礎になる重要な書類です。主に貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書などで構成され、会社の資産や負債、売上、費用、利益の状況を示します。法人税の申告では、申告書に記載する数字が決算書の内容と合っているかを確認しながら手続きを進めます。
決算書は税務署へ提出するだけでなく、経営状況を把握する資料としても使います。試算表や総勘定元帳、請求書などの根拠資料と照合し、金額に誤りがない状態で提出できるよう整えておきましょう。
3-2.法人事業概況説明書
法人事業概況説明書は、会社の事業内容や業種、従業員数、主要な取引先、月別の売上高、経理処理の状況などを記載する書類です。税務署が法人の事業規模や業態を把握するために使う資料で、法人税申告書とあわせて提出します。近年は電子帳簿保存法の適用状況や、年末調整関係書類の電子化の状況などを記載する欄も設けられています。
決算書だけでは分かりにくい事業の実態を補足する書類として、内容を正確に整理しておくことが大切です。提出前には、決算書や帳簿の内容と食い違いがないかも確認しましょう。
3-3.勘定科目内訳書
勘定科目内訳書は、決算書に記載された主な勘定科目の詳しい内訳を示す書類です。現金預金、売掛金、買掛金、借入金、役員報酬などについて、相手先や金額、内容を整理して記載します。税務署が申告内容の妥当性を確認する資料となるため、法人税申告書や決算書とあわせて提出します。作成時は、総勘定元帳や請求書、通帳、契約書などの根拠資料と照合し、金額や相手先に誤りがないか確認することが大切です。日頃から帳簿を整理しておくと、決算後の作成作業を進めやすくなります。
3-4.消費税申告書
消費税申告書は、課税事業者が消費税と地方消費税の税額を計算し、税務署へ申告するための書類です。決算後の税務申告では、売上にかかる消費税と、仕入れや経費で支払った消費税を整理し、納付または還付の金額を算出します。計算内容を示す付表の添付が必要になるため、課税売上高や仕入税額控除に関する資料を確認しながら作成します。
免税事業者でない場合や、インボイス制度への登録をしている場合は、提出の要否を早めに確認しましょう。税理士に依頼する場合も、請求書や帳簿をそろえておくことが大切です。
3-5.地方税申告書
地方税申告書は、法人住民税や法人事業税を申告するための書類です。法人税申告書を税務署へ提出するのに対し、地方税申告書は都道府県や市区町村などの自治体へ提出します。事務所や店舗が複数の自治体にある場合は、従業員数などに応じて税額を分ける分割申告が必要です。
提出先や税率、様式は自治体によって異なる場合があるため、所在地ごとの確認も欠かせません。決算書や法人税申告書の内容と関係するため、所得金額や税額、事業所の所在地に誤りがないか確認しながら作成しましょう。
3-6.適用額明細書【租税特別措置を受ける場合】
適用額明細書は、法人税関係の租税特別措置を受ける場合に、法人税申告書へ添付して提出する書類です。税額控除や所得金額を減らす特例などを適用するときに、措置の種類や適用額を記載します。添付漏れや記載誤りがあると、特例の適用を受けられない可能性があるため注意が必要です。
作成時は、法人税申告書の別表や計算資料と照合し、適用する制度名、区分番号、金額に誤りがないか確認しておきましょう。該当する特例がない場合は、通常は提出対象にはならない点も確認します。
3-7.税務代理権限証書【税理士に代行を依頼する場合】
税務代理権限証書は、税理士に税務申告の代行を依頼する場合に、税務代理の範囲を示す書類です。法人税や消費税などの申告書提出、税務署からの問い合わせ対応、税務調査の立会いなど、税理士に委任する内容を記載します。
税理士や税理士法人が税務代理を行う際は、その権限を証明する書面として税務官公署へ提出します。依頼する税目や事業年度、代理受領の有無などが申告内容と合っているかを確認し、申告書とあわせて提出できるよう、早めに準備しておく必要があります。
4.決算後に税務申告を行う流れ
決算後は、作成した決算書を社内で承認し、その内容をもとに法人税や地方税の申告書を作成します。提出後も、関係書類は一定期間保管する必要があります。ここでは、税務申告を行う流れを解説します。
4-1.取締役会・株主総会で決算内容の承認を得る
決算書の作成後は、税務申告に進む前に社内で決算内容の承認を得ます。取締役会を設置している会社では、まず取締役会で決算書や事業報告、監査報告の内容を確認し、利益の扱いや納税資金の見通しなども整理します。その後、定時株主総会で株主に決算内容を報告し、承認を受ける流れです。承認を得た決算内容をもとに、法人税や地方税の申告書を作成します。
承認前の数字に修正が生じると、申告書の金額にも影響するため、役員報酬、配当、借入金、未払金などの内容も確認しておきましょう。議事録や承認日も後から確認できるように整理しておくと、手続きの経緯を説明しやすくなります。税額の確認や納付準備も必要になるため、株主総会の日程と申告期限を踏まえて、余裕を持って進めましょう。
4-2.決算書をもとに法人税・地方税申告書を作成する
決算内容の承認を得たら、決算書をもとに法人税や地方税の申告書を作成します。法人税は、会計上の利益をそのまま使うのではなく、税法上の加算や減算を行い、課税所得を計算する点に注意が必要です。地方税は、法人住民税や法人事業税などを対象に、事業所の所在地や所得金額などを確認しながら作成します。
法人税や消費税は所轄の税務署へ、法人住民税や法人事業税は都道府県や市区町村へ申告するため、提出先も整理しておきましょう。申告書の金額は決算書と連動するため、貸借対照表や損益計算書、勘定科目内訳書、決算書の注記などと照合し、不一致がないか確認することが大切です。判断に迷う場合は、税理士へ相談すると正確に進めやすくなります。
4-3.税務署や地方自治体に申告する
申告書の作成が終わったら、税務署や地方自治体へ提出し、確定した税額を納付します。法人税や消費税は所轄の税務署へ、法人住民税や法人事業税は都道府県や市区町村へ申告します。申告と納付の期限は、原則として事業年度終了日の翌日から2か月以内です。期限を過ぎると延滞税などが発生する可能性があるため、早めに準備しましょう。
提出方法には、窓口提出、郵送、e-TaxやeLTAXによる電子申告があります。電子申告を利用すると、会社や税理士事務所から手続きしやすく、納付もインターネットバンキングやダイレクト納付などで進められます。提出後は、受付結果や納付状況、控えの保存場所も確認し、申告が完了したことを社内でも共有しておきましょう。
4-4.書類を保管する
税務申告が終わった後も、決算書や申告書、帳簿、領収書などの関係書類は保管しておく必要があります。保存期間は書類の種類や法律によって異なり、税法上は帳簿書類を原則7年間、会社法上は会計帳簿や計算書類を10年間保存します。赤字が出た年度など、税務上10年間の保存が必要になる場合もあります。後から税務調査や融資審査、許認可手続きで確認を求められることもあるため、提出済みの申告書、決算書、総勘定元帳、請求書、領収書などは年度ごとに整理しましょう。
紙で保管する場合は保管場所を決め、電子データで保存する場合はファイル名や保存先を統一して、検索や確認がしやすい状態にしておくことが大切です。保存期限を過ぎた書類を廃棄するときも、社内で確認してから処理しましょう。
まとめ
決算書を作成するには、総勘定元帳や領収書綴り、賃金台帳、期末残高を確認できる書類などをそろえ、1会計年度分の取引を正確に記帳することが大切です。記帳後は、実際の残高と帳簿残高を照合し、決算整理仕訳、総勘定元帳・試算表の作成を経て、貸借対照表や損益計算書などを作成します。
決算後は、決算内容の承認を得た上で法人税・地方税の申告書を作成し、税務署や地方自治体へ申告・納付します。必要に応じて、消費税申告書や適用額明細書、税務代理権限証書も準備しましょう。提出後も、決算書や申告書、帳簿、領収書などは保存期間に従って整理し、後から確認できる状態で保管することが大切です。





