GO&DO通信
GO&DO通信 Vol.25 (民法改正 配偶者居住権)
配偶者居住権とは、相続開始時に被相続人が所有していた建物に居住する配偶者が、相続開始後、生涯その建物を無償で使用することができる権利で、2018年の民法改正により認められるようになりました。
配偶者居住権は、2020年4月1日以後に開始する相続において適用され、また、2020年4月1日以後に作成する遺言書において、配偶者居住権を記載することが可能になります。
具体例で説明すると・・・
例えば、3000万円の自宅と1000万円の預金を持った甲さんという人がいました。甲さんには妻と、一人の子がいました。残念なことに、妻と子は、あまり仲が良くありません。そして、関係性が改善されないまま甲さんが亡くなってしまったとします。
妻は、これまで夫と暮らしてきた自宅については、今後も自分が住み続けたいため、自宅だけは絶対に相続したい!と考えていました。
自宅は妻、預金は子と相続分割がまとまったとしても、妻は生活費がありません。
また、子からあと1000万円権利があるので家を売ってでもお金をちょうだいと言われたら、
結局、家を売却しなければならなくなります。
不動産には「所有権」という権利があります。この所有権という権利は、その不動産を「使う(住む)権利」と、その不動産を売却した時に、売却代金をもらう権利などの「その他の権利」の2つがセットになって、構成されています。
この「使う(住む)権利」(配偶者の場合のみ)のことを、配偶者居住権といい、「その他の権利」のことを、配偶者居住権が設定された所有権といいます。
改正後は配偶者居住権を妻が、配偶者居住権が設定された所有権を子が取得し、預金を半分にすればお互いが望むとおり遺産分割できるということになります。
注意点
配偶者居住権は、相続発生時に自宅に住んでいた配偶者にだけ認められ、かつ、登記が必要になります。
この権利は、あくまで配偶者にだけに認められた特別な権利ですので、配偶者居住権を相続した配偶者は、その権利を売却することはできません。
また、配偶者居住権は、その配偶者の死亡によって消滅するため、その権利を誰かに相続させたりすることもできません。