GO&DO通信
GO&DO通信 Vol.19 (事業承継税制の特例 その2)
「特例承継計画」の提出について
事業承継税制の適用を受けるためには、まず平成35年(令和4年)3月31日までの間に特例承継計画を作成し、県に提出しなければなりません。
計画書には、後継者を選定し株式を承継する時期(予定)を決定し、承継するまでの経営計画と承継後の5年間の経営計画を記載します。
しかし、時期についてはあくまで予定であり、平成39年(令和8年)12月31日までに相続・贈与を行うという内容にします。
また、後継者については3人まで記載でき、実行時にこのうちの1人でも後継者であればよく、後継者が適任でないと判明した場合は、平成39年(令和8年)12月までに変更届を提出することもできます。特例承継計画を提出した場合は、必ず事業承継税制の適用を受けなければならないというわけではありません。
平成30年税制改正で事業承継税制の特例措置が設けられ、中小企業経営者にとって、事業承継に追い風が吹いたとも言えますが、全ての中小企業の事業承継にとって最適というわけでもありません。また、従前の一般措置同様“猶予”であることから、いつかは税金を払うことになる可能性は高いのです。
ただし、中小企業にとっては、これを機に会社の事業承継を、そして経営者自身の相続税対策を行うべきタイミングであることは間違いありません。
先ずは自分の会社が事業承継税制を選択すべき会社であるか否かを判断する必要があります。そのため、自社の株価の検討と相続税がいくらかかるのか(事業承継税制を受けない場合と受ける場合)のシミュレーションを行い、相続税対策の必要性を検討してください。
事業承継税制を適用せずとも、簡単な株価引き下げの方法によって株価を引き下げたうえで贈与等を行うことにより株式の移転ができてしまうのであれば、その方が手間なく自社株の承継ができ、かつ相続税対策も行える様なケースも有り得るからです。
長期の相続税対策を計画しても、経済状況は毎年変動し、相続発生時期だけは計画どおりにはなりません。
会社の事業承継と自身の相続税対策に最適な方法を選択するためには、会社と個人財産の現状把握を行い、会社・個人間における全体最適で取るべき対策の判断を行っていく必要があります。その上で、相続税対策の選択肢の1つとして、早めの特例承継計画の作成をおすすめしています。
特例承継計画の提出期限は2023年(令和4年)3月31日です。