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営業キャッシュフローがマイナスになる理由とは?改善方法も解説

営業キャッシュフローとは、企業が本業の営業活動から得た現金の収支を示す指標です。企業の健全な経営を維持するには、この営業キャッシュフローがプラスであることが重要です。マイナスになった場合、企業の経営に何らかの問題が発生している状況と言えるため、企業は素早く営業キャッシュフローを改善する対策を打つ必要があります。

この記事では営業キャッシュフローがマイナスになる意味や理由、およびキャッシュフローの確認方法や改善方法について解説します。企業の資金繰り状況について理解したい方は、ぜひこの記事を参考にしてください。

 

1.営業キャッシュフローとは

営業キャッシュフローとは、企業が本来の営業活動から得た現金の収支を示す指標です。商品販売やサービス提供による収入から、仕入れや営業活動に必要な費用を差し引いた金額を指します。営業キャッシュフローを構成するのは、現金取引による収支や、掛取引での現金回収・支払い、従業員への給与、現金で支払った経費などです。

営業キャッシュフローがプラスであれば、企業は本業でしっかり稼げている状態と言えます。営業キャッシュフローが潤沢な企業ほど、外部からの融資や借入に依存する割合が少なく、経営の安定と成長が見込めます。

営業キャッシュフローは、キャッシュフロー計算書に記載される重要な項目であり、企業の経営状況を評価する際の重要な指標です。

 

2.営業キャッシュフローがマイナスになる意味と理由

営業キャッシュフローは、基本的にプラスになっているのが前提の項目です。本業の営業活動から得られる現金収入が現金支出を上回るのが、企業経営のあるべき姿です。営業キャッシュフローがマイナスになっているのであれば、経営に何らかの問題が生じています。

この状況が続くと、資金繰りに困るだけでなく、最悪の場合は倒産に至りかねません。では、なぜ営業キャッシュフローがマイナスになるのか、主な理由を2つ解説します。

 

2-1.本業で利益が出ていない

営業キャッシュフローがマイナスになる主要な理由の1つは、本業で利益が出ていないことです。商品やサービスの売上が、仕入れや人件費、経費などの営業活動に必要なコストを上回らない場合、営業キャッシュフローはマイナスになります。

利益が出ない商品やサービスを提供していたり、コストが過剰だったりするケースが多く、企業の収益構造に問題があることを示しています。このような状況が続くと手元資金が減少する上、企業価値や信用も低下して金融機関や投資家からの資金調達が困難になり、経営も安定しません。

 

2-2.利益は出ているが売上代金を回収できていない

営業キャッシュフローがマイナスになるもう1つの理由は、利益は出ていても売上代金を回収できていないためです。売上が計上されていても、手元の現金残高が増えないと営業キャッシュフローはマイナスになります。売掛金の回収が遅れている、または未回収の状態が続いているのが主な原因です。

この状況は、黒字倒産のリスクを高めます。黒字倒産とは、損益計算書上では利益が出ているにもかかわらず、現金の流れが悪いために倒産する現象です。たとえば、大量の商品を売って利益を上げても、その対価が売掛金で現金が回収できていない場合、企業の資金繰りは悪化します。結果として支払いが滞り、経営難に陥ります。

 

3.営業キャッシュフローの確認方法

営業キャッシュフローの主な確認方法は以下の通りです。

マイナスの場合は損益計算書と見比べて判断する
営業キャッシュフローがマイナスの場合でも、新規事業や設備投資のために一時的に支出が先行している場合は、将来的にプラスに転じることがあります。このようなパターンでは、損益計算書と見比べるのが有効です。損益計算書でも赤字が続いている場合は業績が悪化している可能性が高いため、早急な対策が必要です。
減価償却費の割合もあわせて確認する
減価償却費は過去に支払った固定資産の費用を分割して計上しているものであり、会社の収益力には直接関係ありません。したがって、減価償却費が多いのであれば、営業キャッシュフローがプラスになっている場合でも注意が必要です。翌期に営業キャッシュフローが減少する可能性もあるため、税引前の当期純利益と減価償却費のバランスを確認しましょう。
営業利益と比較する
営業キャッシュフローを、損益計算書の営業利益と比較して確認するのも重要です。売掛金の回収サイクルに問題がある場合、営業利益が増えているのに営業キャッシュフローが減るといった現象が見られます。反対に、営業活動が順調に進んでいる場合は、営業利益よりも営業キャッシュフローが大きくなります。

営業キャッシュフローの確認では、単に数値を見るだけでなく、その背景や原因を分析することが大切です。

 

4.営業キャッシュフローを増やすポイント

営業キャッシュフローのマイナスが続く場合、早急な改善が必要です。対処が遅れれば、経営の行き詰まりを招きかねません。

営業キャッシュフローを増やす主なポイントは以下の4通りです。

 

4-1.売上高を増やす

営業キャッシュフローを改善するもっとも直接的な方法は、売上高を増やすことです。売上高の増やし方としては、新規顧客の獲得や既存顧客からの売上増加、さらには価格設定の見直しが挙げられます。新しい市場への参入やマーケティング戦略の見直し、プロモーション活動の強化も効果的です。

また、商品のラインアップを多様化し、顧客のニーズに対応しやすくすることで、売上の増加が期待できます。これらの取り組みを通じて、収入の増加と安定を図りましょう。

 

4-2.不要なコストを削減する

不要なコストを削減すれば、同じ売上高でも利益を増やせます。無駄な支出を見直し、効率的な運営を目指しましょう。たとえば、エネルギーコストの削減や、業務プロセスの改善による生産性向上が考えられます。また、サプライチェーンの見直しや、契約条件の再交渉もコスト削減に有効です。

また、在庫管理の最適化も重要です。過剰な在庫は資金を拘束し、キャッシュフローを圧迫します。不要な在庫は迅速に現金化し、資金繰りを改善しましょう。不良在庫の早期処分は、在庫維持コストの削減にもつながります。外部の専門家にコスト削減のアドバイスを求めるのも1つの方法です。

 

4-3.固定資産を処分する

使用していない固定資産を売却するのも、営業キャッシュフロー改善策の1つです。企業が保有する不動産や設備、車両などの固定資産は、使われていなければ無駄なコストを生むだけです。これらの資産を売却することで、一時的ではあるものの大きな現金収入を得られます。

特に、資金調達が必要な場合や事業活動のスリム化を図る際には、固定資産の処分が有効です。資産売却によって得られた資金を事業拡大や債務返済に活用すれば、経営改善したり安定性を高めたりできます。固定資産の売却は財務体質の改善にもつながるため、定期的に見直しましょう。

 

4-4.債権を回収する

売掛金や受取手形の回収を迅速に行うのも、営業キャッシュフローの改善に大きく寄与します。売上が計上されても、現金が回収されなければキャッシュフローは改善しません。

まずは売掛金の管理を徹底し、回収遅延が発生しないようにすることが重要です。新規の取引先には早期回収が可能な契約条件を設定し、既存の取引先にも回収条件の見直しを交渉しましょう。

ファクタリングの活用も有効です。ファクタリングとは、売掛債権を買い取ってもらうことで、現金を早期に手に入れる手段です。資金繰りを迅速に改善でき、貸し倒れリスクを軽減できるメリットがあります。ただし、手数料がかかるため、債権を満額回収できない点に注意が必要です。

 

まとめ

営業キャッシュフローがマイナスになる原因は、主に本業での利益不足と売上代金の回収遅延です。キャッシュフローのマイナスが続く場合、経営状態が不安定な状況から脱却するのが難しくなることから、速やかな経営改善が必要です。問題を解決するためには、売上高を増やし、コストを削減するとともに、固定資産を処分して経営のスリム化を図ってください。

また、現金回収の遅れが原因で営業キャッシュフローがマイナスになっている状況であれば、取引先との契約を見直し、早期回収が可能な形に変える交渉をしましょう。ほかにも、ファクタリング業者に売掛債権の買取を依頼するのも1つの手段です。